Sasha BLOG

Sashaの療育日記

療育で出会った先生たち

息子が自閉症だと診断された4歳のときから、私たち親子は多くの先生に助けられてきました。発達障害の塾リーフの言語療法士であるF先生は、とても優しい先生で、マンツーマンで根気よく息子に接してくれました。

 

体育の先生T先生も、とても優しい先生でした。親に療育方法を教えて自宅での療育を普及していたつみきの会では、代表のF先生のおせわになりました。

 

F先生の娘さんも自閉症で、ご自身の娘さんの療育のために一生懸命ABAを勉強されたと伺っています。その後、療育の家庭教師Mさんに出会い、療育を外注することになりましたが、彼女も若いながらに、非常に知識が豊富な先生でした。

 

家庭教師のMさんに、学校への対応を一緒に考えていただいたり、時には実際に動いていただいたりしたので、精神的な負担はかなり軽減しました。学校や幼稚園では、周囲から冷たい視線も浴びることも多かったので、家族の精神的負担を軽減するという視点で関わってくださったM先生には、本当に感謝しています。

 

また、学校では通級の先生にたいへんお世話になりました。特にS先生は、お子さんが自閉症ということで、本当に親身になって息子に接してくださいました。S先生とは今もやりとりが続いています。

 

都のスクールカウンセラーM先生にも、たいへんお世話になりました。区のカウンセラーさんは高圧的な性格で、相性が悪かったのですが、M先生は非常に穏やかな方で、学校との間に何度か入っていただきました。

 

区の言語療法士、O先生も素晴らしい先生でした。通常1年間の言語療法を、特別に2年間に延長してくださいました。

 

区の相談員、I先生も忘れるわけにはいきません。異動で教育委員会の方に行かれましたが、学校ではない、スクールカウンセラーでもない立場で相談に乗ってくださるのはありがたかったです。

 

区の教育委員会、I先生はもと小学校の校長先生でした。小学校に入るとき、また小学校で悩みがあったときに相談に乗っていただきました。

 

私が住んでいるB区は、非常に恵まれた環境だったと言えるでしょう。今後も感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

同情を乗りこえる

私は、学校での親しいママ友に、息子の診断名を正確に伝えていません。自閉症ではなく、発達障害と伝えるようにしています。

 

それは、以前趣味の習い事でできたママ友に、自閉症だと正直に伝えたところ、自閉症関連の漫画を大量に送られて、困ったことがあるからです。一口に自閉症といっても、症状やタイプはさまざまなので、ステレオタイプ自閉症のイメージで見られると、ちょっと違和感があります。

 

そういうわたし自身も、知人の兄弟が重い自閉症の方だったので、その状態と違う息子は、自閉症ではないと思っていました。知人のお兄さんは、施設に入っており、カレンダーの曜日をどんな年代でも言えるという特技がありました。

 

映画の「レインマン」に出てくるダスティン・ホフマンに似ているといえば分かりやすいでしょうか。こだわりが強く、人への興味が薄いように見えました。

 

しかし息子は、とても人懐っこく、いつもニコニコしているような子でした。ひとくちに「自閉症スペクトラム」と言っても、実に幅広いタイプがあります。

 

このため、学校には正確な診断名を伝えましたが、学校のママ友には発達障害と伝えるようにしました。そして、それでも気にせずに付き合ってくれる方とだけ、仲良くしました。

 

PTAのお母さん同士の間には「ママカースト」というものがあります。これは子供の能力で、母さんの順位が決まる、とでもいうような仕組みです。

 

頭がいいわけでも、勉強ができるわけでもない息子は、常にカーストの下にいるというわけです。このため、あからさまに私を馬鹿にしてくるお母さんもいました。

 

優位に立つのが楽しいのでしょう、思いやっているふりをして、マウントを取ってくるのも日常茶飯事です。なので、相当限られた人としかご近所のママさん付き合いをしませんでした。

 

親族や同じマンションの方には、障害名は伝えていません。これは、いらぬ偏見を招かないようにするためです。

 

私の両親には障害名を伝えていますが、すぐ忘れてしまうのか、興味がないのか、はたまた気づかないふりをしているのか、あまり自閉症だからこう、という対応をされたことはありません。

 

高校1年生の現在では、学校に障害名を伝えている以外は配慮もなく、いたって普通に育てています。もう少し息子が成長したら、同世代の子との差がさらに縮まると思うので、外野は気にしないで、毎日に集中したいと思います。

 

 

 

 

 

見通しを立ててパニックを減らす

自閉症の息子には、見通しを立てさせることがとても重要です。そのため、我が家には学校から知らされる年間スケジュール、ホワイトボードの月間スケジュール、毎日の予定を書いた一日のスケジュール、の3種類を必ず知らせるようにしています。

 

学校に行く時は、その日の時間割や、放課後の予定を書いたメモを持たせています。これは、いざという時のメモ帳にもなります。

 

高校生になった現在では、かなり精神的に落ち着いてきましたが、一日のスケジュールが分からないときは、まだまだプチパニックを起こすことがあります。

 

特に旅行中が顕著で、細かい行程や時刻表まで決めていないと、拗ねて面倒くさい人になってしまいます。それでも、現在では時刻表や日程を示したら落ち着いてくれるのですから、全然楽です。 

 

一番大変だったのは、字をまだ読めない、幼児期の扱いでした。話しをしても分かってもらえず、人前で泣きそうになったことは数知れません。

 

そんなときは、「字が読めるようになれば楽になる」という、ABAの家庭教師さんの言葉を信じて、療育に励んできました。この励ましがなければ、療育を頑張れなかったと思います。

 

小学校、中学校と成長が進むにつれて、言葉でのコミニュケーションが綿密になっていき、パニックの頻度は減りました。おそらく、最後に学校でパニックを起こして、集団にいられない状態になったのは、小学校5年生が最後だと思います。

 

中学校のとき、2度学校で泣いてしまったようですが、自制して、集団行動はちゃんと取っていたようです。(ちなみに、この2回のうち1回は、教師の叱責によるものでした。)

 

どんな子でも、日々成長していくんだな、と感慨を深くしました。よく言われることですが、周りの子と比べるのではなく、昨日のお子さまと比べて、成長に気づいてあげることが大切です。

 

この文章を読まれている方には、障害児を持つ親御さまもいらっしゃると思いますが、どうぞ希望を捨てず、毎日を乗り越えていって欲しいと思います。

 

自閉症は見たことを忘れられない障害

息子に手厚く接することを、過保護と取る方もおられるかもしれませんが、私がそう接するのは、自閉症が「記憶を忘れられない障害」だからです。例えば、私が怒鳴ったり、意地悪をしたりしたことは、全て息子の脳の中に映像記憶として蓄積されていきます。

 

しかも、時系列で整頓されないので、最近のことも過去のことも、同等に噴出してくるのです。定型発達の人間の脳は、その記憶が自分にとって重要でないと思ったら、取捨選択して、いらない記憶を薄めていくのですが、自閉症の脳の場合、記憶の優先順位がつけられないので、一般的にはガラクタと考えられるような些細なことも、重要な記憶も、すべて等しく覚えていくそうです。

 

これは考えてみたら恐ろしいことで、例えば息子は、何年も前の旅行の際に、ホームにいた電車の車種や塗装、型番などを鮮明に憶えています。また、見たドラマの細部のディテールなとも詳しく覚えています。

 

何年もたって、私がすっかり忘れてしまったことで、同意を求められる時は非常に戸惑います。ドラゴンクエストに「メタパニ」という相手を混乱させる呪文かありますが、息子と会話をする際の私は、まさにメダパニをかけられた状態になります。

 

脳の特性が違うので、なるべく映像記憶には楽しいこと、幸せなことを残してあげたいと考えています。学校の教員の方にも気をつけて欲しいので、夫婦連名の書類を提出していますが、それでも泣かされて過剰な指導を受けたことはあります。

 

周囲も私も含めて、トラウマを残さないように、今後も気をつけていきたいものです。

中学校のプリント管理について

私立の高校に入ってから、タブレット学習の併用で持ち帰るプリントが激減したのですが、公立の中学校に通っていたときは、とにかく大量のプリントを整理する必要がありました。近年の学校では、ITがかなり取り入れられてはいますが、公立はまだまだ紙ベース中心です。

 

息子の中学校では、中1の時から現代国語・古文・数学・理科1・理科2・地理・歴史・英語・技術・家庭科・音楽・美術・保健・体育・と科目が14に分かれており、さらに数学と英語は1学期ごとに担任が変わりました。

 

宿題や、試験前の課題は、それぞれの先生から別々に出るので、子供は課題の指示を聞き逃さないようにするだけでも、必死だったと思います。自宅では課題に集中しないと間に合わないこともあって、プリントの管理などは、私が代行していました。

 

試験前ともなれば、一般のワークブックのほかに、試験範囲内のプリントをまた別にもらってきます。課題が多すぎるせいで、息子の学力に合ったやさしい問題集を解かせる暇もありません。

 

提出しないと内申が1になってしまいますので、意味ないなあと思いつつ、答えを丸写しして提出させることも結構ありました。課題は、提出さえしていれば、内申が1になることはありません。

 

書字スピードが遅い息子は、写させても就寝時間が1時近くになることがしばしばでした。中学校時代の睡眠不足は、発育に関わるので、これについては作業量を減らすよう学校に働きかけて、睡眠時間を確保させてても良かったかもしれません。

 

しかし、普通枠で生きていくことを選んだからには、弱音は吐けないと息子も分かっていたようで、歯を食いしばって頑張ってくれました。通級や校内通級を利用していれば、別の担任がついてくれるわけですから、相談できたかもしれないのですが、息子の場合はとにかく①休まない②課題を提出する の2点に気をつけて、単願推薦で高校入試に臨みました。

 

結果、3年間コロナ禍であったにも関わらず、無遅刻無欠席を貫きました。早退もゼロです。これに関しては、息子は本当に頑張りました。

 

ちなみに、大量のプリントや、試験の後のテスト用紙を管理するのに役立ったのは、プラスのクリアファイルです。保護者むけの書類や、PTAの規約なんかの保存用にもおすすめです。ぜひ活用していただけたらと思います。

スクールカウンセラーに頼ろう

公立の小学校や中学校には、スクールカウンセラーの先生がおられます。息子が通っていた小中学校にも、都のスクールカウンセラーさんと、区のスクールカウンセラーさんが勤務されておられました。

 

同じ日に来られる訳ではなく、都のカウンセラーさんが月木曜、区のカウンセラーさんが火曜のように、両方が重ならないよう別々の日に回っておられました。自分が相性がいいスクールカウンセラーを選べるので、これには大変助かりました。

 

相談予約受付の電話回線は、学校への連絡回線とは別でした。この点についても、よく配慮されていて、素晴らしいと思っています。先生の対応について相談したい時に、学校の職員室に電話するのは、保護者としては気が引けるからです。

 

ただ、相談内容については、スクールカウンセラーさんに話したことが漏れ出た経験があるので、相談内容の守秘義務がどこまであるのか、私には分かりません。基本的には守秘義務があると思いたいのですが…

 

また、スクールカウンセラーさんも相性の合う合わないがあって、酷いことを言われた経験もあること、一概に丸投げできるわけではないことは、初めにお伝えしておきます。

 

それでも、無料で子供の相談にのってくれる方が学校内にいることは、大変心強く感じました。いじめ疑惑で心配な時や、学期始めでまだ様子がおぼつかない時などは、電話一本で行動観察をお願いできたからです。

 

スクールカウンセラーさんは、学校組織とは全く別に動いているので、学校の先生とトラブルになった時に、仲裁をお願いすることも可能です。実際に話し合いに同席していただいたことは無いのですが、そういうこともお願いしたらできるようです。

 

教育センターの相談員の方も、行動観察に来て下さったり、相談にのって下さったりしますが、やはり校内に普段から来ておられるということで、こちらの安心感が全然違います。

 

私が一番お世話になったのは中学校の時です。中学校では、通級を断ったので、その際に教師から一種のパワハラを受けました。挨拶を無視されたり、複数人の教師から話し合いという名の強要をされそうになったのです。

 

息子は小学校の6年間、通級という特別教室に週一回通っており、中学校でも利用するつもりで教育委員会に申し込んでいました。コミュニケーションの小集団訓練が好きだったからです。

 

しかし、教育委員会や教育センターで、事前に申し込んだ時には、中学校も小集団の訓練だと聞いていたのに、実際に中学校に入学してみると、内容が全く異なっていました。

 

内容はマンツーマンのみで、プライバシー保護のために通級を利用するほかの生徒や保護者との交流も一切できない、というかなり閉鎖的なものだったのです。

 

小学校時代は、違う小学校の通級保護者の方との交流会などにも参加していたので、中学校の方針にはかなり違和感を感じました。

 

子ども間で上下関係が発生することへの配慮かもしれませんが、教育委員会で聞いた話と違っていたので、そのへんの食い違いがどうなっていたのか、知りたいところです。

 

とにかく、息子は少人数のコミュニケーション訓練を楽しみにしていたので、断ることにしました。通級は任意で通うものですから、断ってもなんの問題も無いのです。

 

しかし、教師からは「お上の言うことに逆らう、障害を認めない痛い親」とみなされたようで、とても嫌な思いをしました。密室で複数の先生から意見を変えるように圧力をかけられたり、挨拶を無視されたり。

 

とても常識ある大人がやることではありません。そこで、スクールカウンセラーさんに相談したところ、通級の申請取り下げを書面上だけで済ませられるようにして下さいました。

 

この頃は本当に、精神的に参っていたので、弁護士さんにも相談しました。通級申請の取り下げが法的に可能だと、確認に行ったのです。

 

別に、訴えるつもりで弁護士さんのところに相談に行ったのではありません。あくまで保護者や生徒の権利の確認に訪問しただけです。

 

しかしスクールカウンセラーさんに、念のために弁護士さんに法的に問題はないと確認に行った、と伝えたところ、血相を変えて間に入って取り持ってくれることになりました。

 

これには大変助けられました。よいスクールカウンセラーさんに当たって良かった、と今でも感謝しています。この中学校の都のスクールカウンセラーさんは、小学校と同じ方で、以前から知っていたので、この点でもラッキーだったと思います。

 

信頼関係は一朝一夕では築けません。中には悔しい思いをさせられたスクールカウンセラーさんもいたので、ラッキーでした。

 

お子さまが発達障害である場合は、ぜひスクールカウンセラーさんに頼ってください。普段から顔馴染みになっておけば、必ず力になってくれるはずです。

 

学校では役割を持たせる

息子は、フリートークが苦手です。親である私と話をしていても、妙なことを言ってきてイライラさせられることは珍しくありません。ましてや、他人であるクラスメイトの子らが、長々と興味のない話に付き合ってくれる可能性は低いでしょう。

 

息子は鉄道オタクなので、放っておくといつの間にか鉄道の話題にすり替えて、話を進めてしまいます。鉄道研究会の皆さんとは通じても、興味のない人間に一方的に鉄道の話をされても苦痛なだけです。

 

とはいえ、クラスで何もしゃべらないまま一日を過ごすのも辛いでしょうから、息子には積極的に委員会活動や係の仕事を引き受けるように言ってきました。

 

本来の性格として、明るく目立ちがりの息子は、喜んで中学校時代の3年間、委員会活動をこなしました。高校に入ってからは、何も言わなくても率先して委員会活動に手を挙げていました。

 

委員会活動は、内申点でも良い方向に働くので、推薦を利用して進学させたいと思うお子さまなら、ぜひ委員会活動やボランティアに参加させて欲しいと思います。

 

息子は、中学校の内申点は2と3ばかりでしたが、委員会やボランティアの加点を使って、なんとか単願推薦の規定に達しました。推薦枠なら、プレッシャーのかかる試験を経験させなくてすむので、発達障害があるお子さまは、頑張って出席点や委員会加点を使って推薦枠で進学していただけたらと思います。

 

頭が良い子なら、生徒会に入って活動しても良いでしょう。とにかく、仕事として周囲と関わるシチュエーションを作ることです。

 

 

いじめ相談センターを活用する

息子は自閉症ですが、知的障害はないタイプです。そのため、小学校・中学校では普通級に通っていましたし、現在も私立の普通科の高校に通っています。しかし、ろれつがよく回らず、発想の仕方が独特な息子は、常に周囲とのコミュニケーション齟齬の問題を抱えています。

 

当然発生するのが「いじめ」の問題です。支援級ではなく、普通級にやった時点でいじめは覚悟していましたが、いざその目に遭ってみると、なかなか平常心ではいられないものです。

 

最初にいじめに遭ったのは、小学校5年生のときです。ヤンチャなタイプのお子さんが中心となって、息子を5,6人で取り囲み、腹を殴るということが何日か続いたそうです。

 

息子は、なかなかそのことを教えてくれなかったのですが、様子がおかしいことは感じていました。そしてある日、ボランティアの用事で学校の玄関ホールに一緒に登校した朝、そのグループの1人に小突かれているのを目撃したのです。

 

その時は、1人の児童から肩を小突くような仕草をされただけでしたが、帰宅後改めて息子から話を聞いたら、教室の物陰に連れ込まれ、囲まれて殴られていることがわかりました。

 

そのため、翌日担任に相談しました。担任はさらに学年主任の男性に相談したのでしょう。次の日、ベテランの学年主任と話し合うことになりました。中年の男性教師です。

 

学年主任は、息子を殴ってきた相手が「俺は〇〇(息子)なんて相手にしてない。話もしてない。」と言ったのを真に受けていて、本人が近づいてないと言ってるんだから、むしろ私の息子が嘘をついているのではないですか、という論調でした。

 

親である私が、実際にこの目で小突いている場面を見た、と言っても信用してくれません。さらに、興奮した男性の学年主任は、私を大声で怒鳴ってきました。

 

困惑した私は、その日はとりあえず帰宅しました。帰宅してすぐ、担任の女性教師から謝罪の電話がありましたが、私は非常に失望したことを覚えています。

 

女性の担任の先生も、おそらく立場的に、口を挟めない状況だったのでしょう。私は、別に怒ってはいないこと、今後もし同じことがあったらすぐ学校に報告することを伝えました。

 

学年主任の対応には腹が立ちましたが、幸い聞き取りをされた生徒が用心したようで、その後すぐにいじめはおさまりました。また、次の学年に上がる時に、殴っていたグループの子とクラスを離してくれたので、6年の時は平穏に暮らすことができました。

 

本来、5年から6年にかけてはクラス替えがない小学校だったのに、わざわざ慣例を替えて対処してくださったのは、おそらく校長先生のご判断だと思います。

 

このいじめグループとは中学校でまた一緒になり、中2のときに再び問題を起こすことになるのですが、クラスを離してくれたおかげで、小学校の間は平穏に過すことができました。

 

中学校に入ってから受けたいじめは、英語の発音をからかわれたことから始まりました。息子は日本語すらあまりうまく発音できていないわけですから、「いわんや英語おや」ということで、かなり独特な発音になっていたのです。

 

成績が悪いのは課題提出でカバーできますが、いじめやからかいが元で登校しぶりになってしまうことは、絶対に避けなければなりませんでした。

 

息子は普通に通信制とかではない高校を目指していたのですが、成績的に、私立の単願推薦しか入学の糸口が見つからなかったからです。

 

単願推薦の場合、欠席日数は3年間で5日以内に抑える必要があります。息子の成績を考えると、できれば皆勤で過ごしたかったので、いじめは絶対に拒否したかったのです。

 

そこで私は、すぐに区の「いじめ相談センター」に問い合わせました。学校の先生に直接言っても、結局はあまり相手にしてくれないと以前の経験から分かっていたからです。

 

いじめ相談センターの方から学校に言ってくれたおかげで、学校側もすぐに対処してくれたのですが、この時は学校の先生からの嫌がらせの矛先が私に向いてきたため、しばらく辛い思いをしました。

 

発表会や参観日で先生方に挨拶しても、学年主任が怒って無視して来るのです。なかなか大人になって無視される経験はなかったので、かなり驚きました。

 

後で分かったのですが、いじめ相談センターから連絡があるということが「いじめを発生させた」という事実につながり、先生の昇任に影響を与えるのだそうです。つまり、自分の査定に関わるために、学年主任がブチ切れたということだったのです。

 

この先生からの嫌がらせはしばらく続いたのですが、幸い子どもの登校しぶりは無くなったので、結果的には子どもを守ることができました。ですから、子どもをいじめから守る方法としては「いじめ相談センターをちゃんと利用する」ということになるかと思います。

 

先生からは、嫌がられますが、正直外からの力がないと先生方はまともに対応してくれないと思います。

 

ちなみに、この後しばらくして校内で違う子へのいじめが発覚して、校長先生の方から保護者会でいじめが報告されることになりました。学年主任は違う学年に移り、校内で挨拶したら普通に返してくれるようにもなりました。

 

この学年主任が、違う児童と三者面談している様子をたまたま廊下から目撃したことがあるのですが、彼は興奮して教室の中を怒鳴りながら、地団駄ふみながら保護者やお子さんと対峙していました。かなりメンタル的におかしい方、興奮しやすい方のようでした。

 

小学校や中学校の教員しか体験したことがない方の場合、常識がないよと友人の中学教諭が言っていたのですが、本当なんだなあとつくづく実感しました。

 

もちろん素晴らしい先生にも何人にも出会っているのですが、そういう方は自分のお子さんが発達障害だったり自閉症だったりする先生です。

 

そういう方は、本当に体当たりでコトに当たって下さいます。これを読んでおられる方が、親身になってお子さんを考えてくれる先生に出会って頂くことを祈っています。

 

 

 

 

中学校は内申点より出席日数

息子が中学に入って驚いたことは、課題の量の多さです。世代的な問題もあるかとは思いますが、四国ののどかな田舎の町の育った私には、東京の中学校教育は、どちらかというと高校生用のように感じました。

 

1年から国語が現代文と古文・文法に別れ、社会は地理と歴史に別れ、理科は第一分野と第二分野に別れ、と担任の先生の多さにも驚きました。

 

体育と保健の先生も別でしたから、関わる先生は合わせると16人になりました。小学校時代は、せいぜい担任+図工+家庭科+音楽くらいで、クラスも2つでアットホームでしたから、毎時間のように先生が変わる中学校のシステムはかなり子どもにとって負担になっていたと思います。

 

英語と数学も、先生が3人いて、学期によって担任する先生がローテーションする仕組みでした。少人数制を採用してくれていたのはいいのですが、教室移動も頻繁で、ワーキングメモリーが少ない息子にとっては、かなり落ち着かない環境だったと思います。

 

実技科目でも内申点が付くのにも驚きました。テストが主眼ですから、美術も理論教育がほとんどで、中学1年の間、学校で絵の具セットを一度も使いませんでした。

 

小学校のときのように、音楽や絵画・工作を成績ぬきで楽しめなくなルことが、中学で不登校が増える原因のひとつではないかと勘ぐったほどです。

 

試験前の課題も量が多く、例えば数学ワークは40ページ+プリント10枚、歴史20ページ+地理10ページ、国語30ページ、理科20ページ+プリント10枚、英語ワーク30ページ、といった膨大な量を試験前の2週間で仕上げなくてはなりません。

 

とてもまともに対応できる分量ではなく、数学と理科以外は、答えを写して書かせることがほとんどでした。(丸写しでも課題を出せば、評点1を回避できるので、先生から写すなと指摘されたことはありません。)

 

私の田舎は過疎地だったためか、理科と技術の先生が兼任、体育と数学の先生が兼任、先生は町内の人、というかなり牧歌的な環境でした。

 

ですから、東京の中学校のシステムには驚くことばかりでした。私が住む地域には、東大をはじめとする有名大学がひしめいているので、そういう事情もあるかもしれません。

 

今の中学校の良い点もあります。それは、あまり上下関係が厳しくないところです。私が中学生だった頃は、部活の先輩のタオルを洗ったり、挨拶が遅いとすぐミーティングを開いて叱責されたり、部活以外の生活面がとても面倒でした。

 

息子の中学校では、学年ごとに部活を変えても大丈夫だったので、その辺りは良い点だと思います。

 

もっとも息子はやりたい卓球や鉄道関係の部活がなかったこともあり、結局3年間部活には入りませんでした。そのかわり、委員会活動を3年間やりました。

 

部活か委員会活動に入っていた方が、高校受験の時に有利にアピールできるので、何かしらは頑張った方がいいと思います。

 

また、これも内申対策ですが、朝は私が一緒に出るようにして、出席はさせるようにしました。「早く行け」ではなく「一緒に行こうね」というスタンスです。こうすれば、スムーズに登校できます。

 

三年間皆勤だったことは、高校入試にかなり有利に働きました。内申点は3と2ばかりでしたが、文句なしに単願推薦をもらえたのは、息子の頑張りの賜物だと思います。

「俺は自閉症じゃない」と息子が言った日

息子がまだ小学生だった頃、通級の先生とのやりとりで、あるプリントを学校からもらってきました。次年度の支援に関する、保護者の同意書のようなものです。

 

事務的なやりとりを交わすための、なんてことのないプリントでしたが、問題は封筒に入っていなかったことから起こりました。

 

なぜならプリントには、息子の診断名「自閉症」という一文がはっきり書かれていたからです。

 

本当なら、封筒に入れて欲しかったのですが、学校側は息子は読めないとでも思ったのでしょうか…

 

当時はもう小学校4年生くらいになっていたので、プリントを見た息子は「俺自閉症なの?」と不安そうに言ってきました。

 

「まあ、うん…」

 

本人にどのように告知するか、ちょうど療育の家庭教師の先生とも、話をしていたタイミングだったので、この出来事には困りました。

 

療育は、親が障害を受け入れてはじめて開始されるものですが、本人がそれを知ったときに、コンプレックスを持たせないように知らせてあげる必要があるからです。

 

まだ気持ちの準備もできないうちに、このプリントを見てしまったので、学校の対応には大変腹がたちました。

 

とはいえ、知ってしまったからには仕方ありません。息子には、発達障害があるんだよと伝えました。

 

すると、彼は「俺は自閉症じゃねえよ!なめんな!」と私の目を見てはっきりと宣言したのです。

 

小学校には特別支援学級があり、クラスにも2人、ホームルームの時間に来る児童がいたので、その子たちと自分は違うという意味で言ったんだと思います。

 

私は、ただ頷くしかありませんでした。自分で主張できるまでに成長したことへの、嬉しさもありました。

 

しかし素直に喜べない面もあります。「俺は自閉症じゃない」という意識が、差別につながるかもしれないと思ったからです。

 

また、自分でいくら否定したとしても、私や夫から見たら、やはり言葉のセレクトや話題、コミュニケーションの方法には未熟さが感じられました。

 

高校や大学、社会人と今後進んでいくにあたたり、周りの手助けや配慮はまだまだ必要なはずです。

 

自分にはこういう短所や苦手な部分があると自覚して、初めて成長が始まります。だから、息子には自分で自分をケアできるようになって欲しいと思っています。

 

高校生になった現在、息子はスケジュール管理など学校に関することは、だいぶ自分でできるようになってきました。

 

旅行など、イレギュラーなことに関してはまだまだ助けが必要ですが、これについても、成長してくれたらと思っています。

 

余談ですが、霊能力がある方に4人、息子のオーラを見てもらったことがありますが、一様に「自閉症というより、転生の回数が少ないことによる経験不足」と言われました。

 

おそらく、地球に来て肉体を持つのが初めての魂です。レインボーチルドレン、元は天使だと言われたこともあります。

 

息子も、小学校2.3年生の頃は、よく天使の話をしていました。エジプトや北海道あたりで、よく活動していたそうです。

 

天界の戦いに疲れて、人間になったと言っていました。最近はあまり天使の話はしません。普通に、ガンダムや鉄道の話が中心になりました。エネルギー的にも、龍のエネルギーと繋がることが多くなりました。

 

何もない空間をお子さんが見ていたら、見えない存在とコミュニケーションを取っているのかもしれませんね。

 

話がそれましたが、本人の受容については、今後も成長を見守っていきたいと思います。