Sasha BLOG

Sashaの療育日記

宿泊先をコンフォートゾーンに

発達障害児の親でなくても、心配になるのが宿泊訓練ではないでしょうか。「一人で大丈夫だろうか」「困っていないだろうか」とヤキモキする方は多いと思います。

 

宿泊訓練が始まるのは、ほとんどの場合小学校からだと思いますが、息子が通っていた幼稚園は、年中さんの時から宿泊訓練がありました。

 

提携する姉妹校の幼稚園に1泊するだけですが、ふだん親元から離れたことがない息子にとっては、大きなハードルになります。

 

そのことをABA療法の家庭教師Mさんに相談したところ、「親と離れて泊まることをマイナスイメージにしない」ことが大事だと教えて頂きました。最初につまづくと、今後の宿泊訓練にも影響すると言われました。

 

そのため、まず慣れている家庭教師さんにお願いして、ホテルで1泊、宿泊していただきました。近所なので、何かあればすぐ行ける状態で行いました。

 

また、強化子となるイベントもほかに用意しました。プレッシャーがかかる行事に意識を向けず、直後の楽しいイベントで頭がいっぱいにするためです。いわば人参をぶら下げるやり方です。

 

息子は電車が好きですから、宿泊訓練が終わったら特急列車に乗ることにして、予約を取り、壁に電車の写真を貼って励ましました。

 

宿泊訓練の立ち回り先である、動物園にも下見に行きました。このときは宿泊先には行っていませんが、今だったら、絶対に連れて行って建物を外からでも見せると思います。

 

「あそこに行く」とイメージできることが、自閉症の子にはとても大事だと思います。

 

幼稚園の年長さんで行った、新潟でのスキー訓練では、寒さのためにパニックになったと聞いています。暑さや寒さがあると、心理的負荷がかかって、普段よりパニックを起こす閾値が低くなります。

 

ですから、現地の下見はできるだけしておくべきだと思います。スキーは事前に体験させたのですが、練習した施設が実際に滑るスキー場ではなかったので、スキー場に慣れていなかったのもパニックの原因だと思います。

 

小学生に入ると、4年生の時に教室で防災宿泊訓練がありました。学校に泊まって救命訓練をしたり、非常食を食べたりする体験です。

 

小学校は徒歩5分ほどの距離ですし、宿泊場所も小学校の教室にみんなでごろ寝するだけなので、この時はそこまでケアをしませんでした。

 

小学校5年生の時の、八ヶ岳移動教室の際は、現地の宿泊施設や牧場などを下見しました。宿泊先は区の施設ですから、事前に連絡して訪問しました。

 

発達障害の息子が今度お世話になるから、施設を下見したい」と伝えたところ、施設内の寝室、お風呂、トイレ、木工ルーム、キャンプファイヤー広場、洗濯室などを案内してくださいました。

 

それのみならず、登山する予定の山の登山口にも、案内してくださいました。学校などが集団登山する時にだけ使う、一般人が使用しないルートがあるのですが、その入り口の鍵を開けてくださったのです。これには感激しました。

 

6年生の春は、魚沼の移動教室のための下見に行きました。この施設を下見した際も、園長先生が寝室やお風呂場、立ち回り先の電力館を案内してくださいました。遠足で行く尾瀬にも、実際のルートから訪問しました。

 

6年夏の移動教室は、千葉県の岩井海岸でした。海で800mの遠泳をするイベントです。この宿泊先は、一般の旅館だったので、前年の6月に宿泊客として宿泊しました。

 

遠泳の練習自体も、早くから始めており、幼稚園の時からマンツーマンで水泳の家庭教師さんの指導を受けさせました。とにかく溺れさせたくないという気持ちからです。

 

この甲斐あってか、息子は1時間以上続けて泳げるようになっていました。水泳検定では認められない、癖のあるフォームながら、遠泳大会で全体4位の成績を納めたのです。これには驚きました。彼の努力の賜物です。

 

中学生になり、さすがに宿泊サポートは不要かと思いましたが、まだパニックの兆候はあったので、八ヶ岳移動教室の下見に行きました。

 

この年は、結局コロナの影響で直前に中止になってしまったのですが、宿泊先の旅館や立ち回り先を下見し、登山予定の山にも登りました。

 

3年生での京都への修学旅行は、単なる観光旅行だということもあって、特にフォローはしませんでしたが、高校では、入学式の3日後からいきなり宿泊訓練だったため、宿泊先に下見に行きました。

 

「チームビルディング合宿」というもので、お互い何も知らない集団でチームを作るための、研修のようなものです。

 

この時の施設の方にも、事情を話すとお風呂や寝室、食堂、立ち回り先を案内して頂けました。このように、こちらから事情を話すと、たいていの方は力になって下さいます。皆様には、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

この記事を読んでいる方も、不安な時には、その気持ちをぶつけてみるといいと思います。遠方の場合、施設内の写真を印刷するとか、パンフレットを入手するだけでも違うと思います。

 

自分が快適にいられる場所を「コンフォートゾーン」と呼ぶそうです。コンフォートゾーンを作ってあげるお手伝いを、これからもしていきたいと思います。